ANA成田サンフランシスコ線、ファーストクラス搭乗記の続編です。今回はいよいよ機内でのサービスをレビューしていきます。(前編はこちらから)
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ANA NH008便 サンフランシスコ行
ファーストクラスキャビン&シート
この便のファーストクラスは横1-2-1×2列。B777のファーストクラス設定としては標準的なレイアウトでシートが配されています。この便は全8席が見事満席。オンラインチェックインを完了した時点では2席しか埋まっていなかったので、ビジネスクラスからのインボラアップグレードが発生したのかもしれません。
他の方が搭乗した後はキャビンの写真をバシバシ撮るのが憚られたので、残念ながらシート全体の写真はこの2枚だけ。
ANAコーポレートカラーのダークブルーに明るい木目調の化粧板を合わせ、落ち着いた雰囲気に仕上げられています。パーティションが直線的にカットされており、開口部も小さめであるため、同じような構造のJALのファーストクラスシートよりも通路との隔離感がしっかりしています。私自身はオープンタイプの座席上等!というタイプなのでさほど恩恵を感じませんが、びちっと区切られた空間で過ごす方が落ち着く方にとっては、非常によいシートだと思います。
座り心地&寝心地は極めて良好です。この手のシートは離着陸時のUp-rightポジションがいまいちだったりするのですが、このシートに関していえば背もたれを起こしていてもしっかり身体と座席がフィットし、快適でした。
ベッドモードにしたときの快適性もばっちり。デュベスタイルのブランケットとモッチリしたさわり心地のマットレスでベッドメイクをしてもらえます。
枕に関しても、元々座席にセットされていたものに加え、低反発タイプのものが追加で提供されます。横向きで寝るのが好きな私にとっては、大きな枕を抱きかかえて姿勢を安定させつつ、頭を低反発枕に載せるのが一番落ち着きました。
難点は身体回りの収納の少なさと、窓側にもパーティションが設置されてしまっている事。
アメニティケースとヘッドセットを収納する場所がないため、個人用画面の前にプリセットされているのですが、離陸滑走を始めてGがかかった瞬間にあちこちの席でこれが落下し、バッコーン!と音を立てていました。
また、窓側のパーティションのせいで、1列あたり4つある窓のかなりが潰れてしまっています。結果として、離着陸時には窓側席であっても外がよく見えませんし、閉塞感が無用に強まってしまっているような気もします。
ほぼ同じ仕様のシートを採用しているタイ国際航空のB747-400(リニューアル機材)では、通路と反対側の肘掛け部分に各種コントローラーとミニ収納棚を設けることで、どちらの課題も解決しています。(B777とB747では胴体の内径が若干異なるので、単純比較できないかもしれませんが…)次回の改装では、是非このあたりをブラッシュアップしてもらいたいなと感じました。
また、このシートに限ったことではありませんが、タッチパネル式のコントローラーというのはどうも使いづらいものですね。タッチ感度が昨今のスマホやタブレットの水準に及んでいない上、真っ正面ではなく斜めから操作するため、意図しないタッチ入力が為されることがしばしばで…シートについては、従来のレバーorボタンタイプのコントローラーでも必要十分な調整ができるので、ここに関しては無理にタッチにする必要はないのではないかと常々思っています。
そういえば、ギャレーとキャビンを仕切るカーテンには、蘭の生花が活けられていました。ここに花を刺すのは珍しいですねー。
ANA NH008便 サンフランシスコ行
ファーストクラス機内食(1回目 夕食)
離陸後すぐにサーブされる一回目の機内食です。出発時刻が17:10なので、日本時間では夕食にあたります。サンフランシスコ着は翌朝の10時。さっと食べて眠りにつかないと、到着後えらいことになってしまうフライトです。
まずは改めて食前のドリンクから。飲めない私のチョイスはANA謹製かぼすドリンク。
「ウェルカムの一杯で良い気分になれちゃう便利な人なんですよー、だからここからは専らノンアルですー」と宣言したせいか、青いリボンを縛ったフルートグラスで出てきました笑。「このリボンは、チーフパーサーからですっ!!」とのコメントつきです。
このかぼすドリンクは美味しいです。ANA MY CHOICEもしかりですが、ノンアルコールドリンクに関しても、季節毎にこだわった商品を搭載しているのは好感が持てます。そういえば、JALも”QUEEN OF BLUE”というワインボトル入りのプレミアム茶を提供していました。あれも美味しかったな〜。
間髪入れずに、アミューズがでてきます。なぜかメニューからは漏れてしまっていますが…ガスパチョ風の冷製スープ、パルマ産生ハム、一口サイズのムースです。その後は
「ほうれん草とリコッタチーズのニューディーとヤリイカ、サルビアのソース」
「ガーデンサラダにボーフォールを添えて、パパイヤドレッシング」
「牛フィレ肉のロースト、タジャスカ種黒オリーブのせ、赤ワインソース」
「マスカルポーネのムースとキャラメルのビスケット、コーヒーのソース」
と続きます。ガーデンサラダはパパイヤのドレッシングの酸味が強すぎ、ちょっといまいちかな、という感じでしたが、その他の品は機内ということを考えると、素晴らしい仕上がりです。ステーキの焼き加減も、注文通りのミディアムになっており、バッチリです。
デザートへのチョコレートへの落書きは…ははははって感じです。これをここで繰り出してくるとは、色々な意味で攻めているように思います。
お腹いっぱいになってしまったので、チーズとフルーツはスキップ。着替えて寝ます!宣言をしてトイレにこもっている間に、ベッドメイキングを済ませてもらいます。
少しゴロゴロした後、朝食の内容とタイミングに関してリクエストを入れ、さー寝るぞ!となったのがこのあたり。
「おはようございまーす。お食事ですー」と起こされたのがここでした。
ANA NH008便 サンフランシスコ行
ファーストクラス機内食(2回目 朝食)
セットメニューがなんかパッとしない印象だったので、「お好きな時に」のアラカルトメニューから組み合わせ、サーブしてもらいました。
「出されたらすぐに、ちゃちゃっと食べますので、ご迷惑にならない範囲で最後のタイミングで起こして下さい〜」と依頼した結果、着陸まで1時間ちょっとのところで朝食サービス開始。
まずは福岡の名店「久原本家 茅乃舎(かやのや)」コラボの野菜スープから。茅乃舎の出汁パックは簡便ながら非常に美味で、我が家でもハードローテで使っています。期待通りの味でした。乾燥した身体に、優しい味のだしが染み渡ります。
からの、みんな大好き「カレー」。私も、これ位の量でお腹いっぱいになってしまいますが、大好きです。これは敢えてコメントするまでもないでしょう。普通に美味しい一品です。ご飯がふっくらツヤツヤに炊けているのは、日系航空会社の良い所でしょう。
最後はフルーツ盛り合わせで〆。こちらも瑞々しくフレッシュでした。難なく平らげて、片付けてもらいました。
もうこれで終わりだろと思いきや、その後に羊羹の配給が。これ、メニューにないのですが、余っていたのでしょうか。なかなか面白いタイミングのサーブだなと感じました。
あとはもう降りるだけ。UAの巣、サンフランシスコ国際空港にはほぼ定刻にタッチダウンしたのでした。
ANA NH008便 サンフランシスコ行 サービスに関するまとめ
ファーストクラスの担当は、感じの良いベテラン揃い。非常に良くして下さったのは分かるのですが、なんとなく「周波数が合わない」印象が到着まで続きました。このあたりは相性なので、人それぞれでしょう。
JALと比較してどうだったか?という視点でいうと、総合的にJALに軍配を上げることになります。良い意味でも悪い意味でも、コテコテ女将路線を邁進するJALに対し、ANAのファーストクラスはいたって「普通」な感じ。立ち振る舞いや言葉の選び方に関しても、プレミアム感は感じられません。女将というよりはどちらかというと、うちのお母ちゃんに近いかもしれません。
ANAらしい親しみやすさの体現ということもできるかもしれませんが、親しみやすい&フレンドリー路線だと、CXやTGの方が一層自然体で私好みです。なので、ちょっとどっちつかずで、中途半端かな?と感じる部分もあります。
これは憶測ですが、汐留の中の人の前のめりな感じに、現場が付いてこれていないのでしょう。下の画像は機内食メニューの冒頭に掲載されていた挨拶文です。
「ANAだから出会うことができた食文化の粋を、是非ご堪能下さい」ってなんか妙な日本語だよな…というのは置いておいて、自社の受賞歴をズラズラズラっと並べるセンスには、スネ夫的ないやらしさを感じずには居られません。一方で実際に提供されているサービスはどちらかというとのほほん系。中の人が考える理想と現実との間には随分な乖離が見られます。
とはいうものの、まだまだサンプル数が限定的ですので、早合点は禁物。このあたりに関しては、復路のサンフランシスコ→成田でもじっくり観察していきたいと考えています。
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