復路、仁川では約8時間のトランジットでしたが、その間、ソウルの街を十分に堪能しました。
最近数を減らしている、先代モデルの現代エアロシティに乗ったり、撮影したり
チムジルバンでアカスリしてもらったり
うらぶれたカオスな下町を散策したり
写真を撮っていたら、路上で果物を売るKBBAに、違法販売取り締まりの区役所職員に間違えられたりと。
いつも通りのソウルを堪能しました。入国審査場であれだけ並んでいた外国人観光客を一人も見かけないディープコリア。この国の魅力は、一見先進国風を装っていながら、一歩裏道に入ると濃密なアジアが広がっていること。
当局は「浄化」を進めているようですが、どこへ行っても金太郎飴のように同じような町並みが続くようになってしまっては、街の魅力は却ってどこへやらという感じです。人間が生きている限り、必ず社会にダークサイドは存在するわけですから、それを直視して許容する懐の深さを期待したい所です。
都心空港ターミナルを利用して出国!
そんなことを考えていると、もう時間切れ。再び空港鉄道のソウル駅に戻ってきました。今回はアシアナ航空利用なので、ソウル駅に併設されている都心空港ターミナルでの、チェックイン&出国手続きが利用可能です。
まず、空港鉄道の窓口で直通列車の乗車券・座席指定券を購入します。今回の場合は乗り継ぎなので、搭乗券は仁川空港のカウンターで発券済みですが、専用出国審査場を利用するには、ソウル駅の航空会社カウンターでのバリデート印が必要とのこと。
従って、いったんアシアナ航空のカウンターに向かい、バリデート印をもらいたい旨依頼しました。そのままの搭乗券では何やら具合が良くないらしく、再発行のうえスタンプを捺印してくれます。しかし、閑古鳥が鳴くとはこのことで、見渡す限り、乗客の姿は殆どありません。それなりのコストをかけたプロジェクトなのでしょうが、壮絶にコケてしまっていることが、手に取るように分かります。
その後の出国審査も、10秒で終了。出国審査を完了しているとはいえ、一般の乗客と動線や乗車車両が分かれているわけではありません。全く同じ改札を通り、地下7階にあるホームに向かいます。
広告需要も低調なのか、イースター航空の広告が裏返しになって放置されています。辛気くさく見えるので、いっそ広告ごと撤去するか、白板を差し込んだ方が良いような…
往路同様、出発から43分で仁川国際空港に到着した後は、都心空港ターミナル利用者用の優先セキュリティレーンに向かいます。このレーン、乗務員レーンと共用になっているのですが、上の写真の入口に到着してから、ものの2分で出発コンコースに到達可能という驚きのスムーズさです。
一方、一般レーンは相変わらずの長蛇の列で、たっぷり30分くらいかかりそうな雰囲気。ビジネス・ファーストクラス利用者であっても、ここでの行列は免れません。これをスキップできるだけでも、都心空港ターミナルの利用価値は極めて大だと思うのですが、問題は大韓航空、アシアナ航空、チェジュ航空など、韓国系航空会社で出発する旅客のみが対象になっていること。特に、ステイタスの維持獲得目的でソウル発券を利用する人はもっぱら外航利用でしょうから、この恩恵にあずかることは難しい状況です。まったくトホホですねー。
アシアナラウンジ(本館)→搭乗
搭乗までちょっと時間があるので、本館のアシアナラウンジで時間を潰すことに。入口にはA380の巨大な模型が飾られています。この会社、世界で最もA380を使いこなせていない航空会社だと常々思っているのですが…うーん。
ラウンジの中はこのような雰囲気。採光が良いので、のんびり読書したりするには悪くないでしょう。技術力をPRする狙いなのか、国威発揚なのか、湾曲した液晶テレビがど真ん中に2台も設置されています。そもそもテレビが湾曲してたら見づらくないのか…?と、その価値をいまいち理解できない私です。フード、ドリンクもぱっとしないので、水だけもらってメール返したり、ブログ用のメモを書いたりして過ごします。
謎の韓国伝統芸能のパフォーマンスを横目に、メインターミナル先っちょにあるゲートまで移動し、ご搭乗。そういえば、アシアナ航空では一時期、エコノミークラスのことを「Travel Class」と称していた記憶があります。暫く乗る機会がなかったのですが、いつのまにか普通の「Economy Class」表記に戻っています。定着しなかったんですね。まぁ、何がやりたいのかよく分からない呼称だったので致し方ないでしょう。
アシアナ航空A321-200 エコノミークラスシート
今回押さえた座席はエコノミークラスの最後列にあたる39C。ここならば、よっぽどの事がない限り、3列独占できるだろうという読みです。案の定、機内は8割程度の搭乗率でしたが、同じ列には誰もやってきませんでした。中部国際空港でも荷物の受け取りがあるので、前方に座って急いで降機しても無駄無駄。こういうときは、後ろの方のキャビンでノンビリするに限ります。
リージョナル仕様のA321ですが、各座席にシートテレビが装備されており、シートピッチ・リクライニング角度も十分。短距離用の機材としては十二分なハードを備えています。日本線や中国本土路線だけでなく、東南アジアにも足を伸ばす機材ですから、中距離路線での運用にも堪える仕様にです。
同じキャビンの数列前には、韓流JBBAツアーのご一行様が座っておられます。知らないスターの名前が、私の席まで聞こえてきました。ここ数年でだいぶ鳴りを潜めている印象の韓流ブームですが、まだこういう人たちも生息しているんですねー。かしましいですが、楽しそうなのでよしとしましょう。
そんな韓流JBBAご一行様を観察していると、いつの間にかプッシュバック開始。定時の出発、なかなか優秀です。
個人用画面でセイフティデモも映し出されます。サンフランシスコでバウンドしたり、広島でアンテナに引っかかったりしているので、おのずと視聴にも力が入ります。
そういえば、アシアナ航空のキャンペーンガールは韓国芸能界の登竜門だと聞いたことがあります。むかーしむかし、10年以上前にCMに出ていた、ハン・ガインあたりは、個人的にぐっとくる美人だったのですが…
現行アシアナガールには、どこか別の惑星から来た雰囲気を感じます。
ちなみに、アシアナ航空のキャッチコピーは「美しい人々(アルムダウン・サラムドゥル)」。某国の政治家センセイを想起させるセンスですが、これも長いこと変わっていません。一向に廃れることなく、未だに機内アナウンスでも社名の枕詞のように使われています。日本人の感覚では小っ恥ずかしい感じですが、よっぽど彼の国では「刺さる」フレーズなんでしょうねー。文化と気質の違いを感じさせられます。
仁川国際空港から離陸
この日の離陸は滑走路33Lから。仁川国際空港は三本の滑走路を有しているのですが、離陸は専ら33L/15Rを使っているようです。この運用、並行する33R/15Lに着陸した機体が頻繁に離陸用滑走路を横断することになるため、危ないなーと前々から思っていました。案の定、すわ大惨事というインシデントが先日発生したため、怖いよーと思いながら離陸滑走を始めます。
幸運にも(?)直前に着陸したユナイテッドのB747-400は、停止線の所で大人しく待ってくれており、アシアナ航空OZ124便は無事にエアボーンしました。
アシアナ航空 OZ124便 機内サービス
離陸後、水平飛行に入ると遅めの昼食サービスが始まります。この便のエコノミークラスでサーブされたのは、サンドイッチとサラダのセット。韓国搭載の洋食って大抵トホホな感じなのですが、このサンドイッチも例外ではありませんでした。往路「ほいよ!」っと放り投げられたユナイテッド航空謹製ツナサンドの方がよっぽど美味です。
アシアナは、短距離路線であっても気合いでホットミールをサーブする会社というイメージでしたが、これもコストカットの一環でしょうか。今回は空腹感皆無だったので問題なしですが、お腹が空いているときにこれだと…ちょっとちょっとという感じですね。
そういえば、この便の後方キャビンでは、韓国人のクルーも全てのサービスを日本語で行っていました。アシアナの客室乗務員は総じて英語よりも日本語が流暢な感じがしますが、ここまで日本語推しなのは初めてです。暫く乗らないと、色々と変わるものです。
クルーの接客は、一見感じ良さそうに見せながら、ドライな感じ。昔はもう少し可愛らしいというか、親しみやすい雰囲気のクルーが多かったように記憶しています。今回の便では少々スノッブな雰囲気すら感じました。ユルユル・ワハハ系クルー多数のマレーシア航空から乗り継いできたから尚更なのかもしれませんが、もうちょっと感情を表に出したほうが良い印象になるような。
中部国際空港到着
そそられないサンドイッチを味見した後は、座席を広々使って、昼寝。着陸前の機内アナウンスで起こされると、もう岐阜と愛知の県境あたりを飛んでいました。
桑名の街と名古屋港を飛び越えると、ものの数分で中部国際空港RW18にドシン!と着地。長い出稼ぎの旅もようやく終了です。
まとめ
アシアナ航空のエコノミークラスには2年ぶりくらいに搭乗しましたが、シート以外の印象は着実に低下しています。危なっかしい事故、インシデントが連続し、経営環境が厳しくなっていることも影響しているのでしょう。
昔は結構好きだったのですが、今となっては「アワードでちょこっと乗るくらいが丁度良い」という評価に落ち着きつつあります。