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地元タクシー業界とUberの衝突 クアラルンプール&ジャカルタ編

2016/11/26

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シェアリングエコノミーの代名詞といえるまで認知度が向上したUber。利用可能都市が増加する一方で、地元タクシー業界との軋轢ももはやお約束となりつつあります。ここ最近、私の主要行動範囲であるアジア内でもコンフリクトが頻発しています。

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小規模なコンフリクトはしょっちゅう?クアラルンプールの場合

Uber-KL

今週センセーショナルな報道が為されたのは、マレーシアはクアラルンプールの事件です。第一報によると

・KLセントラル駅で物陰に隠れていた約50名のタクシー運転手がUberの車を襲撃
・車の窓を割るなど破壊行為を行った上
・乗客のイラン人カップルを車から引きずり出し、負傷させた

という内容でした。しかし、昨日付の記事では内容が翻っており

・50名のタクシー運転手が襲撃したというのはウソ。1名を逮捕した
・車の窓ガラスが割られたという被害届もUber運転手からは出ていない

と報道内容が錯綜しています。第一報の裏取りが不十分だったのか、警察と行政サイドがもみ消しにかかっているのかは不明ですが、いずれにしてもトホホな顛末です。

このような大きな事件に至らないまでも、Uber運転手とクアラルンプールのタクシー運転手との間では小規模なコンフリクトが頻発しています。

先月(2016年5月)にクアラルンプールでUberに乗車する機会が10回ほどありました。個人的に興味のある領域だったので運転手には都度ヒアリングしたのですが、彼らが異口同音に口にするのは、タクシー運転手による嫌がらせは日常茶飯事だということです。特に

・KLセントラル駅前
・KLCC ペトロナスツインタワー付近
・バツー洞窟駐車場内

では、そういった行為が頻発しているため、客扱いには細心の注意が必要とされるということでした。

Batu-cave

私もバツー洞窟からの帰路Uberに乗車した際、このような事態に遭遇しました。
駐車場入口でUberを呼び待機していると、そこらにたむろしていたタクシー運転手のグループが執拗に声をかけてきます。こういう観光地で客待ちをしている運転手に碌な奴は居ないというのは古今東西の共通項。当然のごとく無視してUberに乗り込んだわけですが、たむろしていた運転手の一人がUber運転手に因縁をつけてきました。構わず発車させようとすると、Uberのボディに平手を一撃!

駐車場を抜けてからUber運転手に訊くと「ここには不良タクシー運転手がたむろしているので、可能ならば敷地の外、幹線道路沿いから呼んでほしい」とのこと。この運転手に落ち度がないことは明白ですが、バツー洞窟に何回もいく観光客がいるとも思えません。今後もこのようなコンフリクトは日夜繰り返されていくことでしょう。

 

ほとんど暴動レベル。
栄えあるインドネシア共和国の首都、ジャカルタの場合

JKT-Taxi

ジャカルタでも、2016年3月22日にタクシー運転手を始めとする公共交通運転者組合の構成員が半ば暴徒化する事件が発生しました。

この事件は、組合員によるデモが発端でした。UberやGrab、GoOjekといったネット配車サービスの普及により、タクシーやバイクタクシー、三輪タクシー、乗り合いバンといった既存交通機関の収益性が悪化。結果として、これに従事する労働者の生活が脅かされているという趣旨のもと、都心部の道をタクシー車両等で埋め尽くし、WEB配車サービスの法的な禁止を訴えるデモでした。

まぁ、この手の自己中心的なデモはインドネシアでは日常茶飯事なのですが、今回の場合は一部の参加者が暴徒化しました。人口1,000万人以上、まともな大量輸送交通機関はほぼなし、というジャカルタにおいて、タクシー無しで都市機能がまともに回るはずもありません

そんな中、タクシー運転手の中にも温度差があるのは当然の事で、果敢にも「スト破り」ならぬ「デモ破り」をするタクシーも出現。これに腹を立てたデモ参加者が、現場近辺を通過する「営業中」のタクシーを襲撃する事態が発生しました。

デモの趣旨を考えれば、デモ破りタクシーではなくUberやGoOjekを襲撃しないとロジックが合わないはずですが、ツッコんではいけません。立ち止まって考えるだけの知性があれば、こんな事態には陥らないのです。

最大手で「信頼できるタクシー」とされているBlueBirdの制服を着た運転手が、デモ破りをする同僚の車を襲撃しているのは異様な光景です。襲撃された方も、車を前後に激しく動かして、道路脇の壁と車の間に襲撃者を挟み込んだりと、アグレッシブに反撃しています。

このデモは同日中に収束し、BlueBirdタクシーは失墜したイメージの回復を図るべく、翌日23日中の無料乗車を打ち出しました。しかしながら、報道を見る限り市民の声はデモ参加者に対して批判的で、タクシーやその他の公共交通に対するイメージは著しく悪化してしまったようです。

個人的に話を聞いたBlueBirdの運転手曰く「給料はメーター金額の10%プラス、乗客からもらえるチップ(釣り銭の端数など)で、生活は厳しい。運転手の前は建設現場で働いていたものの、手取りだけみればそっちの方がよっぽど稼げたよ」とのこと。

予想以上のシビアな待遇に同情できないわけでもありませんが、手取りが減っている原因はUberやGrabではなく、激化する渋滞です。渋滞により単位時間当たりの走行距離が減少し、結果としてメーター運賃を稼げないというのが真の理由でしょう。(仮にUberらの参入により市場がシュリンクしているのであれば、増車を続けるBlueBirdの方針と整合性がとれません)

 

まとめ

各国の既得権益者を戦々恐々とさせるシェアリングエコノミー。米国西海岸の自由闊達な気風を下地としたこの手のサービスが、がりがりの既得権益所有者によって本質的に理解されるとは思えません。

特にクアラルンプールの場合、Uberが急拡大した根底には既存タクシーのサービスレベルの低さがあります。自分たちのサービス改善を怠りながら、新参者への嫌がらせにご執心というのは、どう考えても褒められた姿勢ではありません。

また、今回取り上げた二国に限った話ではないですが、新興国には物事を近視眼的にしか見ることができず、それだけならまだしも、短絡的な暴力行為にまでも及ぶ労働者が大量に存在します。残念ながらこのセグメントの人たちには、物事を合理的かつ客観的に考える力はありません。個人的なの経験上「民主主義=自分たちの思うようにならなかったときに石を投げる権利」と激しく曲解している節すらあります。

各国の経済の結びつきが緊密になるこのご時世、このような混沌は各国にとってプラスに働くことがあるとは思いません。上に立つ支配階層の人々は、様々な形で有形無形のベネフィットを享受しているわけですから、こういうときこそ適切なイニシアティブ(シェアリングエコノミーの完全な合法化、影響を受ける労働者に対する雇用対策)を取り、問題の早期収拾を図ってもらいたいものです。




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