KLMオランダ航空 B777-300ER ビジネスクラス搭乗記 KL809便 クアラルンプール→ジャカルタ

思うところあって、蜃気楼ブログの更新を再開です。新記事の第一弾は、肩慣らしとしてKLMオランダ航空の以遠権行使フライトの搭乗記をば。多彩な顔ぶれが見られた、東南アジアにおける欧州系航空会社の以遠権フライトですが、ここ最近はめっきりその数を減らしています。

そんな中、KLMオランダ航空はアムステルダム=ジャカルタ線/デンパサール線をそれぞれクアラルンプール/シンガポール経由で運航。以遠権運航区間のみの搭乗も可能な貴重な存在となっています。

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クアラルンプール=ジャカルタ間の料金設定は非常にオトク!

エアアジア、ライオングループを始めとしたLCCが幅を利かせるクアラルンプール=ジャカルタ路線。同路線で1日1往復を運航するKLMオランダ航空は、各クラスにおいて非常に競争力のある料金設定を行っています。
諸費用込みの総額料金は往復ベースで

エコノミークラス:10,000円強 ビジネスクラス:33,000円強と非常にお値打ち。

エコノミークラスの料金は、預け荷物有りのエアアジアに肉薄していますし、ビジネスクラスもマリンドエアーに次ぐ安値です。また、片道発券の場合も、往復料金のほぼ1/2であるという点もナイス!

地元ベースの競合他社と比較して明らかにオペレーションコストが高い中、こんな料金設定で大丈夫なのかと心配になりますが、旧宗主国のオランダとしては何とかして自国キャリアのインドネシア路線を堅持したいのでしょう。

欧州=インドネシア間の需要があまり太くない中、アムステルダム=ジャカルタ線を直行便で維持するのはかなり厳しい…故に経由便を複数設定しつつ、以遠権区間を大安売りすることでそれなりの収益を確保する戦術なのだと考えられます。消費者としては上質なプロダクトを割安な料金で体験できるのですから、嬉しいことですね。

なお、KLMオランダ航空の自社FFPである Flying Blue に加算すると、エコノミークラス利用時には5XP、ビジネスクラス利用時には15XPを獲得する事ができます。ビジネスクラスでクアラルンプール=ジャカルタ間を6往復すれば Flying Blue Gold (Skyteam Elite Plus) を更新するに十分な180XPを獲得可能、というのは美味しい!

往年のマルコポーロクラブ同様、平会員からスタートした場合、平→Silver→Gold→Platinumと順繰りにステータスが上がっていき、昇格の都度XPがリセットされます。この為、全くの0からFlying Blue Goldに成り上がるには合計280XPの獲得が必要ですから、注意が必要です

KLMオランダ航空 クアラルンプール空港 ビジネスクラスチェックイン&ラウンジ

KLMオランダ航空のチェックインカウンターは、KLIA1のJカウンターです。この便には何度も搭乗していますが、カウンターはクラス問わず然程混み合っていない印象。ここでチェックインするのは以遠権区間利用者だけですが、折返しのKL810のチェックインに対応するためにフルオープン状態になっているのが効いているのかもしれません。

この日も瞬殺でチェックインを終了し、シャトルに乗ってサテライト側に向かいます。余談ですが、シャトル乗り場のどん詰まりに案内板がある「Bus To Gates C1-C37」ってちょっと気になります。今度時間に余裕があるときに試してみようかしら…

遠くにはコンドル航空のB767-300ER/WLが見えますね。KUL線は収益性に難有りなのか、以前はA340を飛ばしていたルフトハンザもコンドル運航に切り替わってしまいました…

KLMオランダ航空の指定ラウンジは、マレーシア航空のお馴染み Golden Lounge です。ステイタスに関係なくビジネス側に案内されます。KLMはワンワールド加盟航空会社ではありませんから、仮にワンワールドエメラルドステイタスを持っていても、特にメリットはありません。

この時間帯は長距離路線の発着が少ないこともあり、Golden Lounge は閑散としています。ラウンジ入口には見慣れない熊さんが。パディントンかと思ったら、スイスの時計メーカー Oris とのコラボのようです。Apple Watchの便利さに慣れきってしまった私めには、彼らのプロダクト自体は全く以て刺さりませんでしたが、熊さん自体は普通に可愛いと思います。オリエンタルなGolden Loungeの中にあって、ここだけ少し異世界。

シーティングエリアも、ブッフェエリアもご覧の通りの閑古鳥状態。少し眠気を感じたので、エスプレッソをダブルでもらい搭乗に備えることにしましょう。窓の外にはKLMオランダ航空の真っ青な機体が既に羽根を休めています。
20分ほどラウンジで寛いだところで、ボーディングタイムが近づいてきました。出発ゲートにいそいそと向かうことにします。

KLMオランダ航空 KL809便 B777-300ER ワールドビジネスクラス

往々にしてカオスなKLIAでのボーディングエクスピアレンス。しかし、KLM担当チームは立て看板だけでなく特製の張り紙まで用意し、鼻息荒く搭乗を待ち構える乗客達に対峙しています。

お膝元のマレーシア航空の場合は、もう途中から訳が分からなくなってしまうことも多い優先搭乗ですが、この日のKLM担当チームは対象外の乗客をしっかりと弾いていました。乗客の民度と語学力に難有りな新興国では、ちょっと気を許すとボーディングプロセスはすぐにグダグダに。そんな中、このような毅然とした対応は好感が持てます。

L2ドアでにこやかに乗客を出迎えるのは、バックトゥーザフューチャーのドク似の男性パーサー。以前にも乗り合わせたような気がするこのパーサー、もしかするとインドネシア路線ばかり選んで乗務しているのかもしれません…(シニョリティも高そうですし…)

KLMオランダ航空B777ワールドビジネスクラスは2-2-2の横6列配置。全席通路アクセスが標準となりつつある長距離用ビジネスクラスプロダクトの中では若干見劣りする感も否めませんが、シート自体は非常に良くできています。座面・背もたれのパッディングはしっかりとしていますし、各部位のポジションは手元のコントローラーで細かく調整が可能。同行者が居るのであれば、B787-9に搭載されているリバースヘリンボーンシートよりも快適かもしれません。

なお、ショートフライトでありながら、各シートにはアメニティキットを完備。これもファン的には嬉しいですね。

また、個人用画面は大型で解像度も良好。こちらに関しても昨今のトレンドを十分に押さえています。

一息つくと、人の良さそうなダッチ母さん(DBBA)がウェルカムドリンクを勧めにやってきました。KLMのキャビンクルーは総じて大柄で、「歩く青い高層ビル」といった趣なのですが、皆さん朗らかな感じで非常に好印象です。BAのWWクルーやAFのようなクラス感はあまりありませんが、これはこれで良いんだと思います。万事フラットでリベラルなお国柄が感じられます。

メニューのデザインもなかなか素敵。飲み物はカクテル等も含めてフルラインナップ、食事はワンプレートですがホットミールが振る舞われます。

特筆すべきは、ビジネスクラス乗客専用の機内販売アイテムが用意されている事。通常の機内販売カタログとは別建てで、DBBAからにこやかに手渡されました。思い返してみるとKLMは機内販売に積極的な会社で、競合のルフトハンザやエールフランスが以遠権区間では全く機内販売を行わない中、対照的にガンガン売っていました。

時間通りにドアクローズすると、Delft Blueをモチーフにした特製セイフティデモ が始まりました。オランダっぽいし、分かりやすくて良いセイフティビデオですね。

この時間は離陸待ちも全く無く、さくさくっとエアボーン。ゴムの木が規則正しく植えられたマレーシアともしばらくお別れし、カオスなWonderful Indonesiaに向かいます。

このフライトはサービスタイムが非常に短い上、積極的なアップセルオファーも手伝い、ビジネスクラスは常にほぼ満席。従って、キビキビとしたサービスが必要とされます。

普段はロング路線ばかり飛んでいると思われるDBBAsも、このフライトばかりは額に汗をかきかき、右へ左と動き回ります。タキシング中からセットしておいたオーブンが仕上がりを告げるや否や、前方から即座にワンプレートミールのサーブが始まりました。

今回は二種類あるうちの牛肉をチョイス。お味の方はまずまず…Delft Blueのデザート皿や、靴を模した塩・胡椒入れ等、細かな意匠にこだわりが見られます。どちらかというと、味覚よりも視覚で楽しむ一食といったところでしょうか。

機内食のサーブが終了すると、コーヒー・紅茶ともにチョコレートのサービスが。正直サービスタイムを考慮すると、ワンプレートミールだけで大丈夫なんじゃ…?という気もするのですが、ガッツリエンジョイしてほしいというKLMの気概が感じられて嬉しいですね。コーヒーカップが可愛らしいのは勿論のこと、チョコレートもミニハウスを象っています。

機内販売に続いてやってきたのは、お楽しみのミニハウス配給タイム!

このミニハウス、実は1~99の連番が振られておりまして、コレクション用のミニカードも一緒に配られたりします。なんともコレクター魂を刺激されるギミックが盛り込まれていますが、このミニハウスをゲットする為にはKLMの長距離(KUL-CGKに関しては超ショートですが…)ビジネスクラスへの搭乗が必須。かつ、1回の搭乗で一つしかもらえませんから、フルコンプにあたっては、かのTODOUFUKEN SEALなど裸足で逃げ出すような難易度が想定されます。

この区間を利用する乗客の間でも静かなブームとなっているようで、「ねーねー、今日はXX番ない?」といったやり取りがちらほらと聞こえてきました。小物としてのクオリティも結構高いし、楽しい企画ですよね、これ。末永く続けてほしいです。

そうこうしているうちに、KL809便は暮れなずむスカルノハッタ空港に向けて降下を開始。まるでグレーのスープにダイブするかのような錯覚を覚えながら、CGKターミナル3にはオンタイムでの到着となりました。

お隣のスポットにはFlying Kangaroo が。なんか久しぶりに見た気がする、クァンタス。

新築のTerminal 3ではかの悪名高いイミグレ行列は殆どなくなり、非常に高速で通過できるようになりました。問題は荷物受取のターンテーブルがカオスな事。常に混雑している上、ターンテーブルへの到着便のアサインがアホすぎて、突然の「カルーセルチェンジ」がしょっちゅう発生しています。

この便も30分近く待たされた挙げ句、突如3番ターンテーブルでの受取へと変更に。満席の乗客が民族大移動する様は壮観ですらありますが、毎度こういう混乱が発生するのは困ったものです。

こんな栄えあるスカルノハッタ空港は、SKYTRAX3スターエアポート。SKYTRAXからの評点を前面に押し出す航空会社/空港って、どうしてこうも揃いも揃ってトホホなんだろう…と理解に苦しみますし、そもそも3★ってドヤれるポイントなんかい!と突っ込みたくなりますが、そのあたりはWonderful Indonesiaクオリティ。生温かく見守るしかありませんな。

KLMオランダ航空 B777-300ER ビジネスクラス搭乗記 KL809便 クアラルンプール→ジャカルタ のまとめ

片道2万円以下で楽しめる以遠権路線のビジネスクラス、コストパフォーマンスは最高です!単純にサービスを堪能するだけでも楽しいですし、Flying Blue上級会員の方にとっては割安料金でXPを獲得できるという点でも非常に魅力的です。

当該区間を移動する機会があれば、是非一度試してもらいたい便だと思います。私も引き続きホームライナー感覚で定期的に利用し、最早貴重な以遠権路線の維持に貢献していきます。

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