欧州各国や中国、東南アジアを中心に旅する人には使い勝手の良い、Accor Hotels Le Clubプログラム。このプログラムのポイントは提携航空会社のマイレージに移行できるほか、加盟ホテルの宿泊料金の支払いに充てる「Rewards hotel vouchers」として利用する事もできます。
この仕組みが悪用され、当方のアカウントから合計8,000ポイント(160ユーロ相当)が悪意の第三者に詐取されそうになりました。Accorのカスタマーサービス曰く、類似の例が何例かあるようですので、周知も兼ねて記事にまとめます。
Sponsored Link
前提知識:Accor Le Club Rewards hotel vouchers特典
まずはRewards hotel vouchers特典について、簡単に解説しておきます。
Accor Le Clubは米国系のホテルプログラムとは異なり少々くせがありますが、高還元率の、良いホテルプログラムです。
このプログラムにおいてポイントを吐き出す際、恐らく最も高還元率なのが「Rewards hotel vouchers」特典。
貯まったポイントを2,000ポイント単位、2,000ポイント=40ユーロ分のバウチャーに引き換え、宿泊料金等の支払いに充当することが可能です。この仕組みによってバウチャーに引き換えたとき、1ポイント当たりの価値は2ユーロセントと計算されます。
プルマン、ソフィテル、ノボテルなどのフルサービスホテルに対象料金で宿泊した際に貯まるポイントと、ポイントをバウチャーに引き換える前提でのポイント還元率は下記のように整理できます。
★利用金額10ユーロあたり。()内はポイント還元率
クラシック会員:25ポイント (5%)
シルバー会員:31ポイント(6.2%)
ゴールド会員:37ポイント(7.4%)
プラチナ会員:44ポイント(8.8%)
参考:http://www.accorhotels.com/gb/leclub/earn/earn-points.shtml
最上級のプラチナ会員の場合、実に利用金額の9%弱のポイント還元が見込めます。社用でこれらのホテルに宿泊する方にとっては非常においしいプログラムです。
ちなみに、米系ホテルプログラムのなかでもハイリターンなSPGプラチナの場合、1USD利用時の獲得ポイントは3スターポイント。20000ポイント単位で提携航空会社のマイレージプログラムに移行し、1マイル2円の価値とした場合のポイント還元率は7.5%です。
ここ最近のバイマイルキャンペーンの連発により、主要航空会社のマイル価値は下落傾向にあります。このことを考えると、ゴールド会員以上をキープできれば、Le Clubのポイント還元率は他のホテルプログラムに対して秀でていると言えましょう。(ibisなどのエコノミーホテルブランドに宿泊する場合は、還元率が上記の半分になります)
ちなみに、事前購入型の料金で予約した場合は、このバウチャーの利用が不可となる場合もあるようです。
インドネシアの某プルマンに宿泊した際「事前購入型料金の場合、予約と同時にクレジットカード請求がかかっており、バウチャーを利用する事によって支払い額が減少しても、ホテル側では請求額の調整ができない。従って利用不可」との説明を受けました。T&Cを見る限り「ポイント加算対象料金での宿泊であればOK」と読めるので、若干解せないところがありますが、このような割引料金利用時にバウチャーを使用する場合は、事前にホテルに問い合わせておいた方がよいでしょう。
EUR160分のポイントがアカウントから消失していることが発覚
このように使い勝手の良い、Le ClubのRewards hotel vouchers。しかし、先述の通り事前購入料金では使えなかったこと、インドネシアを離れたためAccor Hotelsに宿泊する機会が激減したことから、暫くの間ポイントを利用しないことはもちろん、アカウントにログインしない状態が続いていました。
約2ヶ月ほど前でしょうか。香港での宿泊ホテルを手配するため、久しぶりにLe Clubのマイページにログインしたところ、ポイントの残高が激減していることに気づきました。減少したポイントは8,000ポイント。バウチャー換算だと160ユーロ分ですから、無視できる金額ではありません。
不審に思ってポイント履歴を確認した所、本年1月某日付で、8,000ポイントが “E-Voucher”として差し引かれていることがわかりました。Accorは結構システムがいい加減なので、最初は「なんだ貯まってるポイントが勝手にバウチャーに引き換えられちゃったのかな…?これ、まとめてエアラインマイルと交換するつもりだったら大事故だろ」と呑気に考えていたのですが、腑に落ちない部分があったので、Accorのカスタマーサービスに電話をしてみました。
Accorカスタマーサービスに電話・状況を確認
日本語ダイヤルの担当者は、はきはきとした応対の中年女性。仕事がデキそうな感じの好印象なオペレーターです。事情を簡単に使えると、急に声のトーンが変わりました。曰く、
・あなたのポイントは1月某日にPullman Shanghai South HotelでEバウチャーとして利用されている
・恐らくこれは何者かによるポイントの不正使用
・今年に入ってからこのようなポイントの不正使用が複数例でている
・不正使用されたポイントは、アカウントに組み戻すことができるが、一旦フランスの本部に回す必要がある
・Le Clubカスタマーサポートの公式メールアドレスに、和文英文併記で、事情説明のメールを送ってもらえないか
とのこと。正直な所「げげげ!ちょっと面倒くさいことになったぞ…」と思ったのですが、ちょこまかメールを書くのにかかる工数と160EURを天秤にかければ、後者の価値の方が大きいことは明らかです。
Accor Le Club カスタマーサービスにポイント組み戻し依頼を送る
(画像出典:Pullman Shanghai South Hotel公式サイト)
カスタマーサポートの女性に御礼をいい、電話を切った後に下記のような内容のメールを書くことにしました。
1. 2016/1/22に8,000ポイント(EUR160分)が、アカウントから引き出された。Email等での通知はなく、先日アカウントにログインするまで気づく機会がなかった
2. Le Club日本語コールセンターに問い合わせた所、Pullman Shanghai South Hotelにて1月某日のチェックアウト時にEバウチャーが使われたとのこと(担当XXX様)
3. 私は同ホテルには滞在したことがないし、期間中中国に入国もしていない。この点に関してはパスポート全ページコピーを提出することで証明可能。
4. Pullman Shanghai South Hotelでは、バウチャーの利用時に本人確認をしたのか。T&Cでは、バウチャーは第三者に譲渡可能と書かれているが、譲渡が会員本人の意思に基づくものか、ホテル or Le Club側で確認するプロセスが必要なことは明らか。このような第三者利用が横行する余地があるのでは、今後安心してポイントを貯めることができない。
中一日ほど経ってからでしょうか。Le Clubカスタマーサポートの日本人担当者から、丁寧なお詫びと、ポイントの返還に向けて手続きを行うという連絡がありました。いやはややっと一安心といったところです。
Sponsored Link
約三週間後、元通り8,000ポイントが組み戻される結果に
その後何通かメールのやり取りをしつつも、最初のコンタクトから約3週間ほど経った頃、無事に8,000ポイントが再度クレジットされるという結果に相成りました。
当初は「すぐに戻します!!」という感じだったものの、本部との調整に想定より時間がかかったようで、所要三週間となった次第。
やりとりをしたカスタマーサポートの担当者は、電話担当、メール担当それぞれ非常に親身な対応でした。この為、終始不安はなかったものの「こんなことも起こりうるのか!」という驚きがあったことはいうまでもありません。
まとめ
今回問題となったPullman Shanghai Southにおいて、どのような手続きをもって、Rewards hotel vouchersによる支払いを承認したかの確認は取れませんでした。
オペレーションがいい加減だったり、従業員の教育が不十分なホテルはAccorに限らず方々に存在します。この事を前提とすると、今回のような第三者による悪用は我々が考える以上に容易に為されうることなのかもしれません。
カスタマーサポートからは、念のためログインパスワードを変えるように要請されましたが、これが根本的な解決になるとは思えません。不正利用がホテル宿泊の「現場」で起きる以上、会員個々人としては予防しきれないというのが実際です。
対症療法しかないのが歯がゆい所ですが、アカウントのポイント履歴を時折チェックし、不審な動きがあればカスタマーサービスに問い合わせることをオススメします。
Sponsored Link