Amtrak コースト・スターライト号 寝台車乗車記2 – Roomette 個室のレビュー

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Amtrakの寝台車にはダブルデッカーの”Super Liner”と一般的な平屋形態の”View Liner”の2種類があります。シカゴから東側の殆どの路線では、トンネル寸法等の関係で View Liner しか使用できないのですが、それ以外のルートではSuper Linerが基本。今回乗車した Coast Starlight 号もすべて 二階建ての Super Liner 客車で編成が組まれています。

今回の記事では、そんな Super Liner の寝台個室の中で、最も廉価な Super Liner Roomette の様子をご紹介します。

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Amtrak Super Liner 寝台車のフロアプラン

Amtrakの公式サイトにナイスな3D Tour機能が組み込まれていたので、スクリーンショットを撮ってきました。

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アッパーデッキはトイレが1箇所設置されているほかは、ほぼ全ての空間が寝台個室に当てられています。出入り口からの吹き抜けからみて片側には面積広めの Bedroom が合計5室、反対側には通路を挟んでRoomette個室が合計10室(2×5)配されています。

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一方、ロウアーデッキはトイレ&シャワー設備がメインになっています。台車がある関係でアッパーデッキより床面積が小さめですが、残った部分にはファミリー・身体障がい者向けBedroom2室と、Roomette個室が4室設定されています。

View Linerの場合はRoometteを含めた全ての個室にトイレと洗面台が付いていますが、Super Linerでこれらの設備を有するのはBedroomのみです。このため、Roomette個室を利用する場合は共用のトイレ、洗面所、シャワー室を利用することになります。

吹き抜けの階段を上がった所には、くず物入れと無料のコーヒー&スナックが置いてあります。いずれも1車両に1名乗車しているアテンダントが管理しており、概ね清潔な状態に保たれていました。

 

 

Super Liner Roomette 個室の Day & Night

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昼間時間帯、座席モードにセットされているRoomette個室はこんな感じ。この個室の定員は2名なので、向かい合わせボックスシートのような形で利用することになります。

旧態依然とした見た目とは裏腹に、シートとクッションの作りは非常に秀逸です。シートはリクライニング可能で、座席下のレバーを引っ張ることで座面と背もたれが連動して動きます。背もたれが倒れると足元の空間は必然狭くなってくる形です。

従って、2名利用の場合はリクライニングするのはちょっと厳しいかな?という感じ。ただ、直角状態でも十分快適です。また、シートの横幅は70cm以上あるので、カップル利用であれば相互にリクライニングして、前の座席に足を投げ出すという方法もありかもしれません。

今回は贅沢に1名利用だったので、直角状態〜リラックスポジション〜ほぼフラット状態まで色々なポジションにセットし、大いに寛がせてもらいました。いやー、今年のベストシートアワードにノミネートできる素晴らしい座席です。プルマン以来の知見の蓄積を感じるプロダクトでございました。

 

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21時頃からアテンダントが順次寝台のセットを始めます。寝台をフル展開すると、こんな感じになります。シーツが敷かれ、毛布もセットされます。

公式サイトの諸元によると、寝台の横幅は上段が約60cm、下段が約70cm。頭上のクリアランスが小さく、窓もないので上段はちょっと閉塞感がありそうです。

1名利用の場合は上段寝台は展開されません。プロモーション料金がでている日程だと、1名利用 Roomette x 2室の料金と2名利用 Roomette x 1室の料金に大きな差がないこともあります。2名利用の場合は、いっそのこと2室取ってしまった方が快適でしょう。(それでも上位個室のBedroomを取るよりも割安です)

 

 

今回乗車したRoomette個室の様子

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通路から撮影した Amtrak Super Liner の Roomette 個室。背もたれは完全直角状態ではなく、若干傾斜が付いているのがデフォルトの状態です。枕とハンガーがプリセットされています。

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それぞれの座席の肩には読書灯とコントロールパネルがついています。左右で若干ついている機能が異なります。このコントロールパネルを使って、室温を調整したり、アテンダントを呼び出したり出来る具合です。

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AC電源ポートもここに組み込まれています。室内の電源はここだけで、しかもちょっと高い位置に付いています。長めの充電ケーブルを持参していった方が、色々と捗ることでしょう。

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通路側にはちょっとした荷物置き場が。大きな荷物は階段脇の荷物ラックに預けることも可能です。扉とカーテンを閉めれば、昼夜問わず完全なプライバシーが確保されます。なお、鍵は内側からのみかかる構造です。寝台車の乗客は経済的に余裕のありそうな人が殆どで、車内の治安は非常に良好な感じでしたが、食堂車等に外出する際には念のため貴重品のみ持参した方が良いでしょう。

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手前の座席をリクライニングさせ、足を投げ出すとこんな感じ。大型の枕を背中に入れ込むと、至極快適です。諸般の制約がある航空機と比較するのは酷かもしれませんが、一般的なファーストクラスの座席よりもよっぽど快適でありましょう。今回は若干の遅延もあり40時間近く乗車しましたが、疲労感は殆どありませんでした。

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一度も使用する機会がありませんでしたが、引出式のテーブルも付いています。その裏側には各種リーフレットが。沿線ガイドや食堂車のメニュー等、眺めているだけで楽しい内容です。

前後してしまいますが、ミネラルウォーターも1室に2本据え付けられています。アテンダントに言えば、追加でもらえるようです。車内は意外と乾燥しているので、結構良いペースで消費してしまいます。

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最後に、寝台をセットした状態の写真を。もはや室内に立つ場所がない&暗いのでこんな写真しか撮れませんでしたが…

マットレスにリネンを敷いた状態で上に薄手の毛布がセットされています。客室内空調を最も弱くした状態でも、深夜は若干寒く感じたので、特に女性は何か羽織るものをもって乗車した方が良いと思います。

このシートは座って良し、寝て良しで、ベッドモードにした状態でもすこぶる快適。私の乗り物人生の中で最も熟睡できた夜になりました。24系25型のイメージで乗り込むと「なんじゃこりゃー」となるベッドです。

 

 

Amtrak Super Liner の Roomette 個室レビューのまとめ

総合的にみて非常に快適な寝台個室でした。サイズ自体は天地ともにコンパクトにまとまっているので、アメリカンサイズなおっさん2名で利用する場合はちょっと大変そうですが…標準的な体格の日本人であれば問題ないレベルでしょう。

今回は1名利用だったので、占有空間としてはエティハド航空のFirst Apartment(乗ったことないですけど)に近い感じ。40時間乗ってUSD400を切る乗り物のハードとしては、十分すぎるほど広々&快適でした。もう一泊くらいは余裕です。

1970年代製造の古い客車なのでデザイン的には古くさい部分もありますが、メンテナンスは良好。壊れている所は全くありませんでした。今後もよく手入れして、末永く走り続けてもらいたいものです。

次回はCoast Starlight 号の車窓と食堂車の様子をお送りします。

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