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キャセイパシフィック航空 B747-400フリートの異端児 B-HKT号

2016/11/26

キャセイパシフィック航空といえば、ロールスロイス・フリート。元宗主国の影響であることは明白ですが、自社発注の場合はメーカーの仕様が許す限り、ロールス・ロイス製のエンジンを採用してきました。ロールス・ロイスエンジン(以下RRエンジン)が、キャセイのブランディングの一端であったことを、この広告を見るとよく理解できます。

You can now fly Cathay Pacific to Hong Kong from Heathrow even more often... With all Rolls-Royce powered fleet and flight attendants from 10 Asian lands.., We stop at nothing and help you arrive in better shape

(このフレーズ、いいですねー。キャセイのコアバリュー:英国の香りとアジアのダイナミズムの融合 を、ずばり言い当てているように思います。)

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キャセイパシフィック航空B747フリートの中の異端児

しかしながら、残り3機となったキャセイパシフィック航空のB747-400フリートには、他の2機とは少し様相の異なる1機が紛れています。その異端児はシンガポール航空からやってきたB747シリーズの製造955号機、B747-412 B-HKT号です

キャセイパシフィック航空B747 エンジンタイプの比較

上記の画像を見ると分かるかと思いますが、RRエンジンの機体はエンジンナセルが長く、エンジンの頭からおしりまですっぽりと覆われています。一方、B-HKT号はプラット&ホイットニー(P&W)製のエンジンを搭載しているため、ここの形状が異なります。タービンより後ろのホット・セクション部分が露出しているのが特徴です。

元シンガポール航空のジャンボはどれくらい在籍していたの?

今となっては1機だけになってしまった元シンガポール航空のP&WエンジンB747ですが、最盛期には合計14機がキャセイB747フリートの一角をなしていました

合計14機の内訳はこんな感じ。

・旅客型としてキャセイにやって来たグループ:6機
→B-HKD/HKE/HKF/HKT/HKU/HKV(2004〜2007年)

・貨物機改造(BCF化)を経てキャセイにやって来たグループ:3機
→B-HKH/HKJ/HKS(2006〜2007年)

・貨物機改造を経て当初はドラゴンに移り、後にキャセイに転籍したグループ:5機
→B-KAE/KAF/KAG/KAH/KAI(2006年〜2008年)

シンガポール航空からの中古機導入の経緯(推測)

シンガポール航空は言わずと知れた、機材更新ペースの速い会社ですが、常日頃のメンテナンスも非常にしっかりしている印象です。導入から10年強で放出された極上中古といってもよいジャンボ達を見て、国泰城の中の人はこう思ったに違いありません。

「こんな上玉を買い逃す手はないラー!77W届くまでのつなぎにもってこいだラー!」

「うちの生え抜きジャンボよりよっぽどきっちりメンテされているし、塗り替えてしまえば中古だなんて誰も分からんラー!ややもしたらシートも使えるラー!」

「エンジンが違うとかマニアがウダウダ言うかもしれんけど、あいつら写真撮ってるだけで大して乗りゃせんし、無視しときゃOKラー!」

こんな感じで、意気揚々とお買い上げになったのだと推測されます。商魂たくましい香港人ですからね。

シンガポール航空からの中古機のその後

経緯はともかくとして、キャセイのRRフリートに仲間入りした元シンガポール航空のB747は2010年代前半まで、他のB747と区別されることなく活躍しました。折しもリーマンショック直前の好況期だったため、西はロンドンから東はニューヨークまで、八面六臂で飛び回っていたわけです。

しかしながら、春は長くは続きません。旅客型は新規導入のB777-300ERに押し出され、貨物機に改造されることもなく続々と退役

貨物型も市況の悪化と原油高のダブルパンチに加え、改造貨物機特有の制約(ノーズカーゴドアがない、アッパーデッキの張り出し部分が長いため、搭載できる貨物の高さが制限される)も嫌われたのか、後釜のB747-8Fが納入され始めるや否や、あっという間に姿を消してしまいました

唯一残ったのが、現存するB-HKT号

このように、まとまった数が在籍していた割に、あっという間に消え去った元シンガポール航空のB747ですが、B-HKT号だけは現在も現役。

バンコクに着陸するB-HKT号

(画像引用:Airliners.netより)

長生きしている背景には、機体そのものの調子がよかった、重整備のタイミング等々、特殊な要因があったのでしょう。この1機のために別個のメンテナンスパーツを用意するのは素人目にも非効率ですから、普通であればB-HKT号を運用から落として、もう1機RRエンジンのB747を残したに違いありません。

経歴もユニークな B-HKT号…イスラエルにて出稼ぎ歴あり。

このB-HKT号、元シンガポール航空機材の中でも最も長く生き延びているだけでなく、その経歴もユニークです。

1993.1 シンガポール航空に納入
2005.2 退役。機内を改装し、白装束でエルアル・イスラエル航空へ
2007.3 キャセイパシフィック航空に移籍。元の僚機と再合流

シンガポール航空からキャセイに直接やってきたのではなく、約2年間エルアルでも使われていたんですねー。ネット上の画像を見る限り、フルカラーになったことはなく、ホワイトボディにエルアルロゴの簡易塗装で運用されていたようです。

エルアル航空時代のB-HKT号

(画像引用:Airliners.netより)

ところで、エルアル・イスラエル航空と言えば、セキュリティ対策で特別仕様の機材を導入していることで有名です

・地対空ミサイルを妨害して避ける「フライトガード」
・特別に強化された床面と壁
・対爆構造の貨物室(いずれもWikipediaより)

なんとも物々しいスペックですが、エルアル・フリートの一員として運用されていた以上、B-HKT号も何らかの改造を受けていたと考えられます。

キャセイパシフィック航空で運用されるようになって、これらの装置は取り外されたと推測されますが、日々ドキドキするようなルートを飛んでいた機材だと思うと、ただのジャンボが少し違って見えてきますね!

今回の記事のまとめ

残り少ないジャンボであるからこそ、キャセイファンとしては生え抜きのRRエンジン機に乗りたいところ。B-HKT号がやってくると「ちぇ、ハズレだ!」と思う向きもあるかもしれません。しかし、よくよく歴史を紐解いてみるとなかなか面白い機材でした。

私自身、今後キャセイパシフィック航空のジャンボに登場する予定は多くて2回かな?という感じですが、もしB-HKT号にあたることがあったら、何か面白い痕跡が残っていないか、探してみようと思います!




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