ワンワールドにおける預け手荷物のスルー取扱規程が変更に(6/1より)

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ワンワールド加盟航空会社利用時における、預け手荷物のスルー取扱規程が変更になりました。シンプルな旅程の場合は特に影響を受けませんが、複数の航空券を組み合わせ、PNR(予約番号)が複数あるような旅程の場合は注意が必要です。場合によっては、発券済みの旅程を再検討しなければならない可能性もあります。

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6月1日から適用になったワンワールドの新預け手荷物ルール

CX-agentsキャセイパシフィック航空の旅行代理店向けWEBサイトによると、

a. 航空券番号・予約番号それぞれ1つずつの旅程
b. 航空券番号は複数あるものの、予約番号は1つだけの旅程
→これまで通りの取扱
c. 予約番号が複数ある別切り旅程
→別切りになっている区間の搭乗券発行、荷物のスルー取扱ともに不可。
→前便が遅延した等の理由での振替を規定するIATA Resolution 735dの適用対象外
d. c.のうち、CX・KA便相互間の乗り継ぎの場合
→例外としてこれまで通りの取扱

と明記されています。これはキャセイパシフィック航空のポリシーですが、他のワンワールド各社の対応はどのようになっているのか調べてみました。

 

 

BA-logo

2次ソースになってしまって恐縮なのですが、ブリティッシュエアウェイズはキャセイよりも更に厳しいポリシーで運用を行うようです。

上記のサイトによると、British Airwaysは旅行会社向けに発信されたドキュメントの中で、

・BA同士の乗り継ぎであっても、PNRが複数に分かれているときは手荷物のスルー不可。乗り継ぎ地でのピックアップが必要
・預け手荷物許容量に関しても、PNRごとの規定が適用に。

というポリシーを明らかにしている模様です。
乗り継ぎ地で荷物の受け取りが必須となると同時に、例えば英国内線から国際線に別切りで乗り継ぐ場合には、国内線区間に国際線区間の預け手荷物許容量が適用されなくなります。場合によっては追加料金の支払いが必要になりますから、頭が痛いですね…

 

 

AA-logo

少々時系列的に外れますが、アメリカン航空に関する情報も。

元々、アメリカン航空は別切り旅程におけるワンワールド非加盟航空会社との乗り継ぎであっても、預け手荷物のスルーが可能でした。これが「2014年10月より、アメリカン航空・USエアウェイズグループないしはワンワールド加盟航空会社との乗り継ぎの場合のみスルーチェックイン可と変更になる」という内容の通達です。

限られた情報ソースからでの憶測ではありますが、ワンワールドの中核航空会社であるBA/AAが、預け手荷物のスルーに関するポリシーを、徐々に乗客にとって不利益な方向に引っ張ったかのように見受けられます…。

また、前述のキャセイパシフィック航空とブリティッシュエアウェイズのポリシーを重ね合わせてみると、ワンワールドの統一ルールが見えてきます。a~cに関しては加盟各社で統一した対応を、dの自社便別切り乗り継ぎに関しては各社に任せるという形になっているのでしょう。

 

新ルール下における乗客としての対応策

MH66 - 11

航空券を別切りにして乗り継ぐ場合には、今まで以上に接続時間に気を遣う必要がありそうです。

私個人の例を挙げると、日本から台北やソウルまでBritish Airways Executive Clubの特典航空券で飛び、その先を割安な海外発券ビジネスクラス航空券で繋ぐ…という旅程を頻繁に組みます。このようなケースにおいて、これまではMCT(最低乗り継ぎ時間)をチェックして、これに若干の余裕(30〜1時間程度)をみて発券していました。

上記のルールが厳格に適用されるとなると、台北ないしはソウルで一度手荷物を受け取り、再度カウンターでチェックインする必要がでてきます。台北桃園、ソウル仁川ともにイミグレーションの混雑が著しい空港ですので、これまでのように90分乗り継ぎの旅程を組むと完全にアウトです。しかも、乗り遅れてしまった場合のフォローアップも期待できません。

前便の遅延リスクも考えると、4時間程度の乗り継ぎ時間をみなければなりませんが、これでは著しく不便ですし、考えるだけで疲労困憊してしまいそうです…。

なお、この規定は既に発券済みの航空券にも適用されますので、タイトな旅程を発券してしまっている方は、第一区間を担当する航空会社に連絡し、対応を協議したほうが良いでしょう。

 

 

まとめ

時計の針を巻き戻すようなワンワールドの新ルールは、顧客にとって百害あって一利無しです。共同運航やJV、予約システムの相互リンクが進展する中、どうしてこのようなポリシーを推し進めることになったのか、理解に苦しみます。

複雑な旅程の顧客の対応にチェックイン係のスキルが追いつかず、結果として荷物受け取りの遅延や紛失が発生。乗客自身が乗り継ぎに失敗した場合の対応工数もバカにならないため、一律で切り捨てようということになったのかもしれません。

事情は分からんでもないですが、このような問題が生じているのであれば、チェックイン係の教育を強化したり、各社間のシステムのリンクを強化することで対応するのが筋でしょう。少なくとも、不利益を乗客に対して一方的に押しつけるのはお門違いも甚だしいと思います。

有償発券かつ公示運賃の利用であっても、利用航空会社が異なる場合は別切り不可避の場合が殆どです。そのような場合であってもスルーチェックインが可能&安心感があるという点が、航空アライアンスに加盟するレガシーキャリアを利用するアドバンテージだったはずなのですが…。

規定はともかくとして、現場では「地上係員の厚意で」これまで通りの運用がなされる可能性もあるでしょう。実態を確認するにはしばらく時間がかかりそうですが、どうもモヤモヤが晴れない今回の変更。乗客からのクレームが殺到し、レガシーキャリアとしてあるべき形にいずれ戻ることを期待します。




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