1979年、キャセイパシフィック航空 B747-200B の初就航路線は?

vr-hib(画像出典: Planespotters.net

キャセイパシフィック航空では合計3タイプの旅客型B747ジャンボ(B747-200B/-300/-400)を保有していました。この中で最初期タイプといえるB747-200Bの運用開始年は1979年8月。世界の主要航空会社が1970年代前半にこぞって導入していたことを考えると、意外に遅い導入であることがわかります。

キャセイパシフィック航空がB747-200Bを初就航させた際の運航スケジュールが、routesonline.com (いつもネタを拾わせてもらっています!)に掲載されていたので、引用の上、記事にします。

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キャセイパシフィック航空 B747-200B 初就航時のスケジュール(1979年8月)

eff 04AUG79 Hong Kong – Melbourne – Sydney – Hong Kong (1 weekly CX101/100)
eff 06AUG79 Hong Kong – Taipei – Tokyo – Seoul – Taipei – Hong Kong (4 weekly CX450/411)
eff 07AUG79 Hong Kong – Sydney – Melbourne (2 weekly CX101/100)

(以上、routesonline.com )より

同WEBサイトによると、栄えあるB747初就航路線に選ばれたのはオーストラリア線のCX101/100便。

香港→メルボルン→シドニー→香港の三角飛びで運航されていたようです。さすが同社の旅客輸送便におけるトップナンバーが便名として付与されているだけありますね!

近年は新機材の導入時に国内線や近距離国際線で習熟運航をさせることが業界慣習となりつつあります。テクニカルトラブルが生じた場合のフォローを考えると至極当然の方針だと思われますが、この頃のキャセイは「いてまえー!」といきなりのエース路線投入を実施(笑)今とはまた違った、イケイケな勢いのある会社だったのでしょう。

1979年8月4日〜5日にかけてシドニー・メルボルンを往復した後は、CX450便にて台北経由東京成田へ。その後CX411便に便名を変えてソウル・台北を経由して香港に戻る運用に入りました。成田=香港便に、台北だけでなくソウルも経由する便があったことは全く知らなかった…成田ソウル間のみの搭乗が可能だったのか、どのような運賃設定が為されていたのか等々、興味は尽きません。ちなみに、CX411便自体は現在もソウル→香港間の便名として現存しています。台北経由便ではなく、直行ですが…

CX450/411便で初の東アジアドサ回りを完遂した後は、再びエース路線のCX101/100便で豪州へ。ただ、初就航日とは異なり、三角飛びではなくシドニー経由メルボルンの往復運航になっています。いやはやめまぐるしい。

この後はCX451/411を週4回、CX101/100を週2回こなすのがルーティンとなったようです。CX101/100は出発後24時間以内に香港に戻ってこられない運用です。この事を考慮すると、上記の東アジアどさ回り+豪州ドル箱路線のペアでほぼ1週間フル稼働となることがわかります。

 

 

キャセイパシフィック航空 B747-200B の初就航時の布陣は?

Planespotters.net  の記録によると、当時キャセイパシフィック航空に在籍していたジャンボは、-200B初号機のVR-HKG号1機のみ。2号機のVR-HIAが登録されたのは翌1980年の4月末ですから、都合9ヶ月近くこの綱渡り運用をこなしていたことになります。

b-hkg(画像出典: Planespotters.net

新規導入機材につき、ご機嫌斜めで飛べなくなってしまった事もしばしばあったことでしょう。そんなときはキャセイパシフィック航空の十八番である機材変更が繰り出されたに違いありません。

 

当時の機材構成を考慮すると、CX451/411は2年ほど先んじて導入されたロッキードL-1011トライスターに、CX101/100は古参のB707とスワップされたと推定されます。後者はさておき、「最新のジャンボに乗れるラー!」と胸躍らせてゲートに出向いたら、ボロいB707が待っていたときの衝撃といったら…想像すると少し心が痛みますね。あ、でも今からタイムスリップして乗りに行けるとしたら、B747-200BとB707で片道ずつというのも良いかもしれません。

cx-b707(キャセイパシフィック航空 B707 画像出典 Airliners.net

cx-l1011(キャセイパシフィック航空 L-1011 画像出典 Airliners.net

ちなみに、導入初号機であるVR-HKG号は導入から20年経たずして、1997年に運用を離脱。そのまま砂漠でストアされたあと、買い手がつくこともなく1998年にスクラップになっているようです。酷使されていたのがうかがえますね(笑)

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キャセイパシフィック航空の発展とボーイングB747シリーズ

Routesonline.comに掲載されていた情報には、続きがあります。これを読むことで、B747シリーズがキャセイパシフィック航空発展の立役者であることを再認識させられます。

With the Boeing 747, Cathay Pacific launched its first passenger service to Europe in July 1980, with 3 weekly Hong Kong – Bahrain – London Gatwick as CX201/200. North American debut with the 747 was Hong Kong – Vancouver service launched in Spring 1983, twice weekly.

驚くべき事に、1979年にB747を導入した時点では、同社は欧州にも北米にも就航していなかったのです。アジアの中規模航空会社であった同社が、以後40年弱でここまでのネットワークを形成するに到ったのも、B747シリーズのパフォーマンスがあってこそのことでしょう。

当時の機材スペックでは香港〜JFK直行など可能なはずもなく、B777-300ERがひょいひょい飛び交っている昨今の状況とは隔世の感がありますね!

 

まとめ

キャセイパシフィック航空がまだまだ小粒な航空会社だったころの、B747ジャンボの運用を引用してご紹介しました。

個人的には、当時の一種牧歌的なルーティングにノスタルジーを感じると同時に、機材を可能な限り効率的に運用するべく、トリッキーな機材繰りを組む姿勢にニヤりとさせられました。

当時と違って運用機材数が大幅に増加しているため、少しでも多くの都市をネットするための三角飛び・6の字飛びはなくなっています。一方、長距離運用と短距離運用を組み合わせることで、機材運用効率をマキシマイズするDNAは今のキャセイパシフィック航空にも健在。

翻弄されるクルーはたまったものじゃないでしょうが、乗客としては美味しい思いをできることが多いのもまた事実。大人しい機材運用スタイルになってしまうと、キャセイらしさが無くなってしまいますから、これは今後も残していっていただきたいものです!

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